離婚の有責主義と破綻主義とを考えよう。
現在の民法は離婚について有責主義をとっており、相手方が有責な場合だけ裁判上の離婚ができるという建前になっている。
そうはいっても別居後7年とか10年とか経ているものについては裁判所も離婚を認めているのが現状である。
ところで、有責主義の下で、離婚訴訟になったときは、法廷で離婚原因を主張しなければならないが、これは苛烈で、しかも困難なことである。これに対し長期別居など婚姻関係が実質的に破綻しているとの認定は客観的に容易である。
夫婦に有責性の有無を法廷で争わせることがよいかは疑問である。
だめになってしまった、ということが判っているのに相手方に有責性がない、自分が有責だ、という理由で離婚させないのも酷である。そうなっても形骸化した婚姻を続けさせるのは夫婦相互に不幸である。子にとってもよい環境ではないだろう。充分に経済的保障をするのであれば実質的に破たんが認められれば、有責配偶者からの離婚も認めてもよいのではないか。
問題は子のことであり、両親の離婚が子に与える影響である。しかし、不仲なコンフリクト家庭より健全な母子家庭、父子家庭の方が子供の精神上も良いのではないか。親には扶養義務が残るし、心の交流のための面接交渉もある。離婚は緩やかに認めても親子の関係には充分配慮する必要があることはいうまでもない。
色々と考えて、離婚は破綻主義であっさりと、アフターケアはしっかりと、親子関係の、特に子の福祉には充分配慮を、というのが現代の望ましい離婚なのではないだろうか。破綻主義の採用を検討すべきである。